1 あれから、さらに聡介への風当たりは弱まった。罵声を浴びることもなく、ほんとに極一部の人間に嫌われているだけの、ただの高校生のよう。 聡介は焦っていた。これでは今までの繰り返しでしかない、と。 (ここは一発ビシッと嫌がらせしとくか…) 鏡の前で紫の髪を黒いカツラの中にしまいながら、頭の中でプランをたてる。そのどれもが子供じみたものばかりなのだが、聡介が考えているのだから仕方ないだろう。 よし、と気合いを入れて学校へ向かう聡介。…洗面所の床に落ちたヘアピンには、気づかなかったようだ…。 ・聡介嫌われ作戦その1 朝登校のついでに草をむしり取って、隆也の靴箱の中に入れてみた。 「おっはー!…あ、聡介おはっ」 「……」 「そーそー聞いてよ、今日俺の靴箱ん中草だらけだったんだけどウケる!」 「はっ、俺からのプレゼントだ。ありがたく受け取れっ」 「…マジ?えーじゃあ今度は花とか入れてよー」 (…き、効いてないのか…!) というより、草が入っていたといってもこんもりではなく、靴の上にちょこんと乗っていただけ。もしかしたら…と隆也は思っていたので、その予想が当たりなんだか嬉しそうだ。 [次へ#] [戻る] |