20 「……いってき、ます」 「気をつけてね、野分。聡介くんも」 「テメェに心配なんかされたくねーよっ!はっ、親衛隊に捕まってもみくちゃにされろバーカッ」 バーカバーカ。そう主に康也に向かっていいながら、聡介も逃げていった。とはいってもこの2・3年でさえ敵になる始末。出た途端襲いかかってきた彼らをヒョイッと避け、聡介はとにかく逃げた。 それがまた速く、皆唖然と見送るしかない。 (この俺が捕まるかっつーの!) むしろこの鬼ごっこを、いいストレス発散の場にしようと考えているのだ。暴力を振るえばストレスは減るだろうし、そのことで嫌われ、訴えてくれれば補佐も辞められる。一石三鳥、なんて考えていた…。 『捕まえろぉおお!』 「……あ?…オタク…」 先ほどまでしつこく追いかけてきていた親衛隊をまき、のんびり歩いていた康也の耳に入ってきたその声。自分にか?と振り返ってみれば、そこには聡介とそれを追いかけている多数の生徒が。 これは面白い。康也はニヤリと笑い、こっそり隠れながらあとをつけた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |