ショック、そして…
(キッカケ…直感、かぁ…)
キッカケもなければ直感なんて感じない。理央はシュン…と今度は眉を垂らし、少し落ち込んだ様子で入浴を始めた…。
こうして考え込んでいることが、既に気持ちが決まっているということにも気づかずに。そしてキッカケは、ふとしたときにやってくるのだ。
◆
なんの進展もないまま日にちが過ぎた、9月も半ばのある日のこと。最近では理央も周りの変化を気にしなくなったのか、落ち着いてきていた。
紅姫とバレてからしばらくは強姦を恐れて周りがバリアを張っていたがそれもなくなり、今では校内を1人で歩き回れるように。
今日も放課後の暇な時間を潰そうと、1人フラフラと校内を歩き回っていた。だんだんと生徒も減っていき、自然と人の少ない方へ歩いてきてしまった理央。ちょっと引き返そうか、そう思っていたそのとき。
『――!お…から…っ』
『い、…ろ!――れは…!』
「んー?なんだろ、ケンカかな…」
争うような声が聞こえ、理央は足を止めた。ケンカならほっといてもいいだろう。短くとも夜の世界にいた理央にとって、ケンカや勝負を邪魔されるのは嫌だと分かっているから。
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