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 それだけで克己にやる気が漲ってきたのか、まるで本物のハンターのように目を血走らせ、時計を狙って…撃った。

 パン、と当たり、少し後ろにズレるも落ちることはない。克己はもう一回だけ、といって同じことを繰り返した。


「この忠犬っぷり見てたら、理央ちゃんイコールあの人って気づきそうなもんだけどなぁ…」

「……ちょ、なんのはなしだよ」

「ん?んー大河とか、りっちゃんのこと?特にりっちゃんね」

「えぇ…いや俺変装してるし」

「そうだけどぉ…あ、ジュンジュンとケンカしたら即バレるね。ジュンジュンは人の動きをよーく見てるから」

「へ、へー…」

(…あれ、なんで今その話…)


 いや、きっと特に桐兎にも意味はないのだろう。ただ気づかなすぎる周りに不思議に思い、口にしただけ。…けれど口にしたことでこの秘密を、そろそろ楽しいことに使いたいと思ってしまったのも確かだ。

 ニヤァ…と桐兎が笑いを隠さずにいたのだが…そのとき克己が3発目でとれた時計に理央は飛びついてしまい、それを見ることはなかった…。


「スッゴい!うわーさすがっ」

「ん…あげる」

「いいのっ?ありがと克己ぃっ」

「……偉い?凄い?」

「ん、凄いぞーっ、見直したっ」


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あきゅろす。
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