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「だって、先輩の本当の笑顔見れましたから。そっちの方がやっぱ断然綺麗ですね」
「え…君…」
作り物じゃなく本物の笑顔。それはやはり輝きがちがくて、それを見れて自分はラッキーだと理央はそういったのだ。それを聞いた律は目を丸くし、笑いを止めてマジマジと理央を見つめた。
「それは、どういう意味ですか?」
「えっ…せ、せんぱ?いやあの、ええっ?」
「よく、気づいたね。俺が笑ってないって」
「はあ?そりゃ気づくだろ愛想笑いくらい!つか俺って…いやまず近いっ」
「面白いなぁ…ここのバカは誰一人気づかないっていうのに」
(ちょ、先輩キャラちげー!)
添えるように腰に手を回され、ググッと顔を近づけられた理央は、その前髪とメガネの下で完全にパニックに陥っていた。律をまとっていた雰囲気が妖しいものに変わり、口調や一人称まで変わっている。
「ききき、気づいてごめんなさぁぁいっ!」
「ふっ…あはは、別に怒ってるわけじゃないって」
「ぅ、え…?」
「ただ…気に入っただけ。これから面白くなりそうだなぁ、よろしく、理央♪」
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