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――トン
「……り、お?」
「ぁ…あ、克己…」
「?、どう、したの」
「俺…俺、…っ!」
「…理央…?」
(……克己にいったら、伊織はどうなる…!?)
誰かが見張っていて、克己に告げた時点で伊織を潰せと連絡が回るかもしれない。それを思うと克己には手紙のことはいえず、口をパクパクさせて必死に言い訳を考えた。
早く、早くしないと克己が怪しんでしまう。
「ぁ…あー墨村先生に呼ばれてたの忘れてたんだよっ!」
「え、」
「わりっ、ちょっといってくるな!いい子で待ってろよ?」
「……オレ、も…いく」
「だいじょーぶだって。それになんか家のことらしくてさ。だから待ってて、な?俺の荷物見ててよ」
(家…理央の、家族?)
お願いっ!と下から見上げてくる理央に、克己の心はグラッと揺れる。それに、家族のことに口を出すことはあまりしたくない。2年前、理央はそのことに触れられるのを凄く嫌がっていたのを、鮮明に覚えているから。
もちろん今は嫌だとか思わないのだが、とにかく克己があっさり納得してくれたことに理央はホッとした。急いで教室を出て、下におりずに6階の視聴覚室を目指す。
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