桐兎のワガママ ――ヴヴヴ、ヴヴヴ 「っ――!」 (ビビった…っ、見られてないよな…?) 今日に限ってポケットに入れたままだった携帯が振動し、理央は小さく体をビクつかせた。いきなりの振動に心臓はドキドキ。しかもその反応をもし見られていたかと思うと、やや恥ずかしい。 理央は少し耳を赤くしながらポケットから携帯を取り出し、まずメールがきたということを確認した。メルマガか何かか。今は授業中だし、そうだろうな…と思っていたらもう1通。不思議に思って開けてみれば、2通とも桐兎からだった。 【理央ちゃーん暇だよーぉ。メールしよ?】 (えぇ…授業中だろ…?) 【見てないのーっ?ねー早くしないと放送で呼び出すよ?】 (呼び出すって…) どこに?第一、授業中なのだから普通は見ないはずだ。理央は呆れながらも、【授業中だろ】とだけ返した。その返事はすぐにやってくる。 【僕生徒会だから授業免除あるもん。あ、そうだ!メールなんかじゃなくて理央ちゃんもきなよっ】 【…もしかして生徒会室、に?】 【そー!おいでおいでっ。もちろん…きてくれるよね?】 「っ…」 こないと秘密バラしちゃうよ?そういってるのが容易に伝わってきて、理央は卑怯だ、と息を詰まらせた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |