８
大河は理央がその紅姫とは知らずに話しているのだが、いかんせん本人がそこにいて、直接告白されているようなもので。その懐かしむような横顔に、理央は少し…ほんの少しだけ、話を聞いてやってもいいかも、と思った。
「紅姫は３ヶ月足らずでチームを解散させたんだ」
「…どうしてか…あんたは、知ってんの？」
「知らねぇ。解散したあとにそのことを聞いて…ショックだった。いや、こっちが勝手に想っていただけだが、それでも会いたくて」
「なんで、解散したと会長は考えてんの…？」
「…さぁな。だが、いい理由であってほしい」
(いい…理由、だったよ…)
家族と感じる幸せを見つけることが出来たから、愛を求めるために作ったチームは解散させた。いや、チームなんて作った覚えはないけれど、みな大切な仲間で、自分を支え、最後まで愛してくれた人たちだ。
ワガママだったかな、と今では思うが、後悔はしていない。そう、大河の望みは叶っているのだ…。
「ぁ…あの、さっ」
「……チッ、んで俺はこんなことコイツに…」
「…え…？」
「まぁいい。話してやった対価をもらうだけだ」
「は？…え、ちょ…な、なんで近づいて…!？」
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