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 クスクスと笑う理央はようやく手を離した。伊織の顔が、だらしないものに戻ったから。もう大丈夫だろうと思って手を離し、そして力強く背中を叩いた。ありがとう、という意味も込めて。


「ねぇねぇ理央くん」

「……ん?」

「君…手加減って言葉知ってる?ちょ、マジ痛いこれ紅葉ついてるって!その小さい体のどこからこんな力が出てんの!?」

「ちっさいいうな!こ、これでも手加減したんだからなっ」

「マジか!」

「ぅ゙…ごめん結構力入れた」


 シュン、と今度は理央が落ち込み、若干ジンジンする手を握り締めた。自分も手を痛めたのか…などと伊織は思うわけもなく、背中の痛みも忘れて携帯を取り出す。


――カシャッ

「も、萌えー…落ち込む理央萌えっ。あ、そだ!さっきのもう一回やってよ『元気だせ』っていってほっぺぷにーってさ!どうしよ、写メとムービー両方いいっすか!!」

「よくねぇよ!…ったくもー…さっさといこうぜ。いく場所あるんだろ?」

「あ、そうでした。理央はあそこのモール、もういった?」

「まだ。今度の土日にでもいこうと思ってて」

「凄いよー中。そん中のお店の一つがさ、知り合いがやってるというか、バイトとしてお世話になってるというか…」


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あきゅろす。
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