3 紅葉自身、関西弁と標準語が入り混じっており、椿の不審な点には気づけなかったのだろう。本物じゃないと分かり、多少なりともショックは受けたものの、それでも…と紅葉はペンを走らせた。 【椿先輩の関西弁、好きですっ】 「あ、ホンマー?そら嬉しいわ。でもそないに珍しいか?関西弁」 「……ああ、紅葉も関西弁だもんね」 「(コク)!」 「え、そーなのっ?」 「知らなかったー」 「(えへへ)」 喋れないのだから当然なのだが。だが周りからすれば、こんな可愛い顔した紅葉が椿のように関西弁を喋るのか、というショックが大きい。 想像する要素が椿だからなのかもしれないが、目に浮かぶ紅葉は、決して可愛いと呼べるものではなかったようだ。 そして紅葉は、みんなが軽くショックを受けているうちに次の言葉を書き、椿にそ…っと見せた。 【僕の大事な人も関西弁で、金髪なんです。だから、つい、先輩と重ねちゃってて…】 (怒る…かな…) 目を見開く椿に、紅葉はシュンとしてしまう。最後につけられた『ごめんなさい』という言葉は、その人と…若葉と重ねていたことをしっかりと椿に伝えていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |