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ああ、やけど、捨てることだけはすんなや。そういって組長はそれ以上話をすることはなかった。
19歳にしてシングルファザー、しかも他人の子。若葉はただただ頭を抱えて誰かが夢だといってくれるのを願った。
◆
「あ゙ーホンマありえへん。ありえへんやろ子育て、て。入るとこ間違えたやろか…?」
自宅…といってもボロいアパートだが、自分の部屋に帰ってきて若葉は不満を口にした。せっかく整えられていたオールバックもグシャグシャにし、缶ビールを冷蔵庫から取り出しながら、何回も舌打ちをする。その姿は極道というより不良に近いが。
だが他の組はクスリまで扱っていて、見た目だけでも十分ヤバそうな奴らばかりだった。だからこそ山里組を選んだのだが…ここもあまりいいとはいえなさそうだ。
「第一どうやるかなん分かるわけないやろ。あん狸親父が」
ケッ、と文句を垂れてみるがそれが聞き入られるどころか、誰にも聞かれてないわけで…若葉はまた深くため息をついた。これはもう、諦めるしかないんだ…と。
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