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「紅葉チャン、ホンマええ子やね。わざわざ名前まで隠してこないなかわええことして。純粋すぎるってわけでもないけど、まっさらで綺麗な子や」
「…はっ、ただのガキだろ」
「そんガキが欲しい、ゆうたらどないする?」
「あ…?」
「紅葉チャン、俺にいっちゃん懐いてくれとるし、優しくしてやればコロッといくような気ィすんねん」
そう椿にいわれて思い出すのは、よく紅葉から抱きついたり撫でられて本当に嬉しそうに笑ったりする姿。それを思うとイライラとしてきて、だが同時にいいようのない不安にも駆られた。
決して椿にはいわないし、表にも出さないけれど。
「……なぁ、桐は紅葉チャンのこと、どない思っとんの?俺がもろても、エエ?」
「っ、ざけんな。俺様は、…俺は…っ」
「あと一年あるさかい、じーっくりいかしてもらうで」
(あいつには俺様がいりゃ十分だろ…!)
(クク、ははっ!あとは頑張りやー)
なぜ告白しないのかは椿にも分からない。もしかしたらちっぽけなプライドでもあるのかもしれないし、ただ単にヘタレなのかもしれない。けれど、見てるのはじれったくて。
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