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 だから寮はないんじゃないかと思ってこうして森の中を探しているのだが、もしそこにいたらという不安もあることはある。それでも自分を信じ、こうして走り回っているのだ。

 どれくらい経っただろうか。あの携帯を見つけてから結構経ち、もう敷地の一番端についてしまうんじゃないかというとき、椿の携帯が音を鳴らした。


「部屋番…?まさかっ」

――ピッ

「っ、もしもし桐やろ!?今どこにおんねんっ、紅葉チャンが………え?」

「椿先輩…?」

「……そか、そら良かったわー。分かった。ん、一応みんなに伝えるで?」

『――…―』

「ほいほい、ほなまた後でな」


 用件だけを伝えてきたその電話は、各部屋に設置されている電話からだった。相手はもちろん桐。話を聞いていくうちに落ち着いていく椿に、菖蒲も少し肩の力を抜いた。


「紅葉は…」

「ははっ、桐が先に見つけたらしいで。やっぱあんとき探しに出とったんやなぁ」

「桐先輩、が…」

「…安心しぃ、未遂やそうや。今桐の部屋におるさかい、このケータイ持って先いっててくれへん?」

「え、椿先輩は?」

「後始末が残っとるんや。…そや、3人にも連絡したってなー?」



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あきゅろす。
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