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役に立たなかった…

「紅葉…っ」

「っ…んな青ぉならんでも大丈夫やって!」

「だけどっ!どうしてそんな落ち着いてられるんですか!」

「これが落ち着いてるように見えんのかよっ!!」

「っ…!ぁ…ごめ、んなさ…」

「……や、俺も堪忍ね。でも…紅葉チャンも男の子や、俺は結構強いと思うねんけどな」


 よく泣くけど、人を疑うことを知らずに可愛らしい笑みを見せてくるけど、心は強く出来てるんじゃないかと思っている。声を失ったあの子だが、なぜかそう思えるだけのモノを持っているのだ。

 …とはいえ、やはり椿も心配でたまらないのだろう。口数は少なく、額に汗をかきながら無心に走った。こんな、誰か1人のために必死になるのはいつ以来だろうか。


「あ、の…っ、寮の、部屋ってことは考えられないで、すか…っ?」

「それも考えたんやけど…っ、わざわざ場所変えたくらいや。しらみつぶしに探せば見つかる部屋なん、ないと思うで」

「でも…っ…親衛隊の誰かの部屋、なら…はぁ、探すだけでも結構な時間、かかりますよ、ねっ?」

「カメラついとるし…桐がおったら部屋、開けられるしな…っ」



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