[携帯モード] [URL送信]
間に合った、けど

 上からどいた男のおかげで見えた鮮やかな髪に、今度は安堵から涙が零れ落ちる。もう大丈夫だ、そう思ったら張っていた気が抜けてしまったのだろう。紅葉はそのまま気を失ってしまった。

 最悪の事態は免れたようだ。…が、それで怒りがおさまるかといわれたら、そうではない。


「……ソイツからどけ」

『『は、はい…っ!』』

『っ、なぜですか!長谷川様はみんなの長谷川様なのに…っ、どうしてソイツだけっ』

「………」


 焦り、戸惑い、怒りながらもまだ喚くミカ様…もとい箕禍を桐はシカトし、地面に横たわる紅葉に近づいた。顔は涙でグチャグチャに濡れ、男たちが悪戯に引っかいたのか、白い肌に赤い線がいくつか。

 桐は自分の着ていたカーディガンを紅葉にかけ、ゆらり、と立ち上がった。無表情なそれは、彼らの恐怖心をさらに煽る。


「どうしてだと?…なら聞くが、なぜ俺様の交友関係をテメェらに決められなきゃいけねぇんだよ、あ゙?」

『っ…そ、ソイツは皆様に媚びを売って誑かしているのでしょう!?編入生の、喋れない顔しか能のないただのガキのくせに…!』



[*前へ][次へ#]

17/100ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!