[携帯モード] [URL送信]

 だから、部屋には行かないのだと。そしてたどり着いた先は学園の敷地の隅っこ、校舎とは真逆の場所だった。紅葉が連れ去られて早20分、きっともう探し始めているころだろう。

 だが隊長は焦りを見せず、紅葉の頬を容赦なく平手打ちした。


――パシン…!

「っ゙…!ぁ…っ」


 乾いた音が鳴り響き、紅葉はその勢いのままズサッと地面に倒れ込む。叩かれた頬はすぐに熱を持ち、ジンジンと痛みを訴えてきた。ジワリ、紅葉の目に涙が浮かぶ。


『長谷川様たちにとりいったあげくランク1位!?ふざけないでよっ、生徒会だとか、僕たちがどれだけ…っ』

『うざいんだよ!さっさと消えればいいものをっ』

(ど、して…っ、どうしてどうして!)

『泣いたってもう許してあげない…僕だって、この身をかけてアンタを追い出すんだから一々泣くな!』

「っ、ふ…っ」


 親衛隊の隊長である自分に目が向くのもわかっている。きっと、懲らしめている最中に誰かが来てしまうことも。けれど自分が退学になってでも、このまま紅葉をのさばらせておくのが許せないと、そういっているのだ。



[*前へ][次へ#]

11/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!