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道連れでもいい

 空き教室も、部室も体育館倉庫も全滅だった。少しでも望みがあるなら、それにかけてみたい。菖蒲は蓮見たちに再び連絡を入れながら、先にいった椿を追いかけ、走り出した。







 今は全クラスが音楽祭の練習中。おまけに職員室まで先生と来ていたとなれば、彼がいなくなったこともすぐ気づかれるだろう。空き時間や体育館倉庫、校舎裏などはダメだ。真っ先に探される場所である。

 ならば、誰にも見つからないところ、見つけにくいところへいけばいいではないか。


『さっさと歩きな!』

「っ…は、」
(どこ、まで行くん…っ?)


 始めは校舎裏へ連れて行かれた紅葉だったが、そこは見つかりやすいかもしれないと、再び連れ出されていた。人目につかないよう森の中を通り、ようやく見えてきた建物はなんと寮。

 だがそれも、先ほど通り過ぎてしまった。ミカ様と呼ばれる人に部屋じゃないのかと聞いていたもう一人の子。その子にバカにしたように、こう返していた。


『部屋にも探しにくるかもしれないでしょ。見つかって退学になるのは覚悟の上。でも…壊れる前に見つかったら意味、ないじゃん?』



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あきゅろす。
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