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 先ほどの電話に出たのが椿だったことも疑問に残っていたのか、息を整えながら聞いてみる。その質問に、椿はただ顔を曇らせ、こういった。


「部屋から出て帰ってけぇへんし、見つからんねや」

「こんなときに…っ。僕、寮の方へいってみます」

「俺も森ん中いってみ、…っ?」

「…椿先輩?」

「…なぁ、桐…紅葉チャン見かけたんとちゃうか?」

「は?」

「せや、えらい慌てとったし、あの桐がそんななるん、きっと紅葉チャンだけや!」


 トイレなんかじゃない。あのとき何かで紅葉が危険な目にあわされてるのを知って、助けるために駆け出したんじゃないか、椿はそう推理した。けれど菖蒲はそれにすぐ納得は出来ずにいる。

 何しろ、あの桐だ。確かに紅葉のことを気に入ってるようだが、だからといって血相を変えるほど人を思う性格をしていただろうか?でも、もしそうだとしたら、紅葉の行き先は生徒会室の窓から見えるところかもしれない。


「窓開いとったし…そっちの方、探してみるわ」

「僕もいきますっ。…もう、紅葉にはツラい思いをして欲しくない…!」

「そら俺かて同じや。…先いくでっ」

「あっ…、紅葉…っ」



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