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次こそは無事なままで

 紅葉が先生と出て行ってからしばらく、各グループでの練習が行われていた。もちろん菖蒲も一つのグループに入っているため、クラスメートと共に練習を進め、そして通しでの練習をすることになった。

 曲はうまいぐあいに編集され、もうCDに焼かれている。それを流せば音楽が流れ出し、みんなはそれに合わせて歌い出した。


(……あ、この曲…紅葉好きなんだよね)


 軽快なノリの曲に、順番を待つ菖蒲はどこか楽しそうに思い出す。本人は何もいわないけれど、紅葉が歌が好きなのは練習中の様子を見てすぐに分かった。本当は歌いたいだろうに…そう思ってしまうのを押し込めることは、菖蒲にとって非常に難しいことでもあった。

 早く声が戻ればいいのに。そんなことを考え、もうすぐだと気合いを入れようとしたそのとき、教室の扉が開いた。


「……おお、やってるなーみんな!続けてくれて構わないぞ」

「あれ…あの、紅葉は…?」

「ん?……きて、ないのか?」

「……は?どういうことですか?お願いしましたよねっ?」

「っ…す、スマン。他の先生に呼ばれて待ってるようにいったんだが、先にいくと書き置きしてあって…!」

「そんな…」



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あきゅろす。
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