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【1ーA Tsutsuji Kurosawa】
「……(ふはっ)」
きっと、音楽祭と決まったときに指揮をやる気で勝手に注文したのだろう。悔しがる様子が目に浮かび、紅葉は小さくクスクスと笑いを零した。
…だが、その笑顔もすぐに恐怖に怯えたものに変わってしまう。
『へぇ、その顔…自分がどうなるか分かってるみたいだね』
「っ、ぁ…っ」
『でも大丈夫。さすがにこんなとこじゃ…ね?だから移動しよっか』
『ほら、さっさと歩きな。…普通にしてよね』
(し、親衛隊の人…っ…や、どないしよ…!)
隊長のミカ様と呼ばれていた人だ、とすぐに思い出す。以前携帯を壊されたことで恐怖心がより強く根付いてしまっているのだが、だからといって紅葉には何も出来ることがない。
助けてと叫べぬまま、紅葉は携帯とタクトを握り締め、腕を引かれるまま校舎裏へと連れて行かれてしまった…。
◆
『よーし、それじゃ一通り軽くでいいから流してみよーぜ』
『いーねーやるか』
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