先生からプレゼント!
だが、まぁ生徒に手を出すほどこの学園には染まっていないだろう。だから任せ、自分はクラスの練習に専念した。このときは大丈夫だと、思っていたのに…。
◆
「ちゃんとついてきてるかー椎名」
「っ…は、(速いぃ…)」
「はっは、まだ高校生なんだ。若いうちに体力つけとくんだぞ」
「はふ…っ、は…」
180cmと160cm、身長差があれば当然歩幅も違う。菖蒲たちは紅葉に合わせてくれていたが、この人ばかりはそんな甘いことはしてくれなかった。運動運動といらぬことを口にして、本人もいつもより速めに歩いているではないか。
既に小走りの状態であとを追いかける紅葉は、職員室の小さな看板が見えて心底ホッとした顔をした。息は絶え絶えに、ヒーヒーいいながら先に入った先生のあとを追いかける。
「渡したいものというかな、先生から指揮をやる椎名にプレゼントなんだ」
「っ、…?」
「ほんとは教師がそんなことしちゃいけないんだがな…ほら見てみろ、タクトだ!」
「……!」
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