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初仕事
 事の始まりは、とても元気な赤ちゃんの泣き声だった。だがオギャーオギャーと力強く泣くその声に、喜ぶものはいなかった…。



「はぁああ!?ちょ、組長待って下さいよ、いくら何でも冗談がすぎるんとちゃいます!?」

『冗談やない。これがお前の初仕事や』

「初仕事て、他にありますやろっ?運転手でも借金取り立てでも!」

『嫌やったら抜けてくれてもかまへん。代わりはようけおるさかいのぉ』

「っ…そら、ワイかて生半可な気持ちで入れさせてもろたわけやないですけど…」


 グッと唇を噛み締めるこの青年に、30近い男はクッと喉を鳴らした。青年はまた言い返したくなるのを堪え、仕方なく頷く。

 どう見てもこの2人の力の差がハッキリしているのは歴然だ。男は青年を連れ、ある場所へと向かった。



 あなたは山里組をご存知だろうか?関西の一部を仕切る、どちらかというと正統派な裏の組織、いわゆる極道。勢力としては関西の方では皆五分五分だが、山里組はクスリを扱わないため、まだ "いい" 方のヤクザである。




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