5 「ってヤダー!椿なにそれっ、黒ビキニとかありえないしーっ」 「え…うわ、気持ちわるっ!も、紅葉を離して下さいっ」 「エッチスケベ変態色欲魔折衝なし」 「……ひ、ヒドすぎるやろ…」 水着を指差して笑われるくらいならまだいい。黒ビキニ、なんてものを買った時点でそれは予想していたし、冗談のつもりでもあったのだから。でも菖蒲のゴキブリでも見るような目に、一葉のキツーイお言葉。 抱きついていた紅葉に嘘泣きをし、さらに抱き寄せて頬ずりをしだした。相手が椿ということと、まだ水着を見てないということもあり、紅葉も若干嬉しそうにされるがままだ。 「ちょっとやめて下さいよ、紅葉が穢れます!」 「あははっ!センス疑うしーっ」 「エーン、みんながイジメよるー。紅葉チャン、なんかゆったって!」 「っ…ぁ…」 「……おい椿、紅葉に引っ付いてんじゃねぇ」 ――グイッ 「っ…!?ぁ、(桐…)」 ((今 "紅葉" っていった!?)) ちなみに、引っ張られたのは椿の方。後ろに引かれてそのまま水しぶきをあげながら尻餅をつき、大丈夫かと振り返ろうとした紅葉を桐が抱き寄せた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |