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「……ただいま、ぁ…」

「おーぅおけぇり…紅葉?」

「……え?若ちゃん、どないしたの?」

「そらこっちのセリフや。…それから、どうしたの、や」

「っ……ぁ…ふ、ぼく男の子やもん、女ちゃうのっ!」


 出迎えてくれた若葉が、心配そうに目を合わせてきたから。標準語に直そうとするそれが、いつも通りで落ち着けたから。
 ここ何日か自分の中で溜めていたものを吐き出すようにして、泣きながら若葉に抱きついた。

 今まであまり泣いたとこを見たことのない若葉は驚いたように固まり、そしてハッとして紅葉を強く抱き締めた。うわぁあと大声で泣く紅葉の背中や頭を、ずーっと撫で続けてあげた。


「………全部、ゆうてみ」

「ぼくっ、男だよねっ?ふぇぇ、女の子といるの、おかしいん…っ?」

「何いうとるん、紅葉は立派な男や!……それ、何かいわれたん…?」

「ぼくは変だって…うぇっ…こんな顔、やだぁ…っ」

「も、みじ…っ」


 若葉みたいな顔が良かった。そういって自分の顔を引っ掻こうとする紅葉の手を、若葉は慌てて止めさせた。




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