4
「もーっと力入れてエエでー」
「っ…ふ!、っ!」
「…んんー?…そか、紅葉チャンの力が元からないねんな」
「…!(ガーン)」
「はは、ドンマイ、や紅葉チャン」
同じ男として、なぜだか強烈なショックを受けた。若葉は気持ちいいといってくれていた。だからいいんだと若干拗ねながらも背中を洗ってあげ、一度湯に戻る。そして全て洗い終わった椿と交代だ。
「背中、流したるさかい。ドアの方向いて座ってなぁ」
「…? (コク)」
鏡の方を向いていたイスを横向にし、ドアの方を向いてちょこんと座る。湯船から出ずにやるつもりでいたのだが、椿は紅葉の背中を見て驚愕のあまり動きを止めてしまった。
真っ白な、触り心地のよさそうな肌のもと。上に散らばる薄い赤色の、鬱血のアト。それは桐が一昨日着替えのときにつけた、キスマークだ。
「っはー…これ、桐がつけたん?」
「…?」
「え、気づいとらんの?めっちゃエロい背中してるで」
(えろい背中って、なんやろ…)
コテン、と首を傾げ、鏡で見ようと体を捻らす。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!