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「もーっと力入れてエエでー」

「っ…ふ!、っ!」

「…んんー?…そか、紅葉チャンの力が元からないねんな」

「…!(ガーン)」

「はは、ドンマイ、や紅葉チャン」


 同じ男として、なぜだか強烈なショックを受けた。若葉は気持ちいいといってくれていた。だからいいんだと若干拗ねながらも背中を洗ってあげ、一度湯に戻る。そして全て洗い終わった椿と交代だ。


「背中、流したるさかい。ドアの方向いて座ってなぁ」

「…? (コク)」


 鏡の方を向いていたイスを横向にし、ドアの方を向いてちょこんと座る。湯船から出ずにやるつもりでいたのだが、椿は紅葉の背中を見て驚愕のあまり動きを止めてしまった。

 真っ白な、触り心地のよさそうな肌のもと。上に散らばる薄い赤色の、鬱血のアト。それは桐が一昨日着替えのときにつけた、キスマークだ。


「っはー…これ、桐がつけたん?」

「…?」

「え、気づいとらんの?めっちゃエロい背中してるで」

(えろい背中って、なんやろ…)


 コテン、と首を傾げ、鏡で見ようと体を捻らす。



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