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椿はちょっと戸惑ったものの、せっかくだからお願いすることにした。まずは頭から洗っていく。
「桐も背中、流したんか?」
「(フルフル)」
「あ、そうなん?クク、聞いたら羨ましがるやろなぁ」
(写真も見たし話も聞いたわけやけど…そないに似とるんかな…"若ちゃん" と。まぁ、特権やね)
これが学園のよく知らない生徒だったら、椿は笑顔で拒絶をし、そのままシカトか似つかないほど酷く抱くかぐらいはしただろう。いや、紅葉だって知らない人ではあった。けれどそれを許してしまえるだけの何かがあったのだ。
それだけ今までのどの子よりも可愛かったからなのか、障害者だったから甘く接していたのか。…紅葉が、紅葉という存在がとても純粋で、綺麗だったからなのか。
真相を知った今では "同情" という気持ちが生まれてしまったから何ともいえないが、でもやはり許すだけの何かがあったのだろう。
「……ほな、お願いするで」
「! (コクッ)」
――ザパッ
「っ――ちょ、タオル巻いてへんやん!」
「…?」
「アカンよそれは、そこは巻いとこ、な?俺もその若ちゃんと違うて狼さんなんやからっ…ちゅーか…うは、かっわえー…ってちゃうちゃう!」
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