3 【若ちゃんがね、標準語使いなさいっていうの】 「ああ?誰だよ」 「ちょ、…紅葉チャンの父親やん…」 「あ、あぁ…変な親だな」 【変じゃないもん!一々突っかかってくる桐が変なのーっ】 「……あ゙?」 イーッと挑発するような仕草に、桐はカチーンと頭を鳴らす。紅葉にとっては幼い頃からそう育てられてきたわけで、でも関西弁を覚えてしまってそれが単に抜けないだけ。実は若葉がなおそうと言い直すのも好きで、わざと使うときもあるのだが。 だがそれは今はどうでもいい。変な人だといわれたのがちょっとムカついて、言い返してみただけなのだ。むっとしていた顔はすぐおかしくて堪らないという顔になり、上機嫌のまま食べるのを再開した。 「ははっ、コロコロ変わってかわええなー紅葉チャンは」 「チッ、この俺様に楯突くなんざ100年はえぇっつーんだ…」 「まぁまぁ。…そや、このあと俺と一緒に風呂入るか!」 「……!」 (え、わ、…ちょっと入ってみたい…かも) そう思うのはやはり若葉の面影を見ているからなのだが。 [*前へ][次へ#] [戻る] |