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チッ、とつまらなそうに舌打ちをする桐は、羨ましくないと強情を張る椿に見せびらかすつもりでいたらしい。だが桐と違って椿は思ったことを口にする。それこそ、いわないで、といわれると余計にペラペラと。
そういえばそんな性格だったと桐はため息をつき、未だジタバタしている紅葉をやっと離した。いきなり拘束がなくなったことで紅葉は椿に倒れ込んでしまうが、それを支えてくれた椿に紅葉は笑顔を返す。
「そういや…他の奴も呼ぶとかいってなかったか?」
「ああ、明日来るでー」
「……明日?」
「今日は俺が紅葉チャン独占すんねん!やから嘘ついて明日ぁゆうといたわ」
「…?」
「んー?紅葉チャンは今日、俺とずーっと一緒にいようなーっちゅー話や」
「っ、(コクッ!)」
エエよな?と桐に視線を送る椿に、桐は苦々しげに眉を潜めるだけだ。ここでダメだといえばまるで自分は嫉妬しているようだし、かといって椿と一緒にさせるのにも不満がある。
そんな葛藤を尻目に、紅葉は椿にニコニコと笑顔を見せた。
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