1人目到着
(うそ…っ、嘘や、若ちゃん…若ちゃんがいた…っ)
――ピンポーンッ
「っ…!」
『あ゙あ゙?!誰だーぁ?』
『オレオレー俺やってぇ』
『……テメェ、警察に突き出してやろうか』
『あ、ちょ、スマンって!オレオレ詐欺風にしてみたかったんよー』
(……ぁ…椿、先輩…)
若葉よりは高めの声、学園でよく見る金髪のあの人。紅葉は椿が計画したことを知らなかったため、椿を見てすぐに気づけなかったのだ。太陽の光に反射して輝く金髪が、若葉に見えたのだ…。
ドキドキとうるさかった心臓は少しずつおさまっていき、何をバカなことを考えたのだろうと少し悲しくなる。写真の中の若葉は、出てくることはないのだと分かっていたはずなのに。
「もーみっじチャーン!椿オニーサンが来たでーっ」
「っ…ぁ!」
「おぉーいっ、かわえーかわえーもーみじチャーンッ」
「っ…っ…!」
(つ、椿先輩…っ!)
下から大声で呼びかけてくる椿に、無性に抱きしめてほしくなって。紅葉は写真を置き、ドタバタと音をたてながら下へおりていった。
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