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 大きな猫目は嬉しそうに細められ、えくぼが出来るくらい口角があげられる。ピンクに染まった頬はなんだか可愛らしい。


「っ…」

「(ニコニコニコッ)」

「…わ、分かったら手伝えよな…」

「(コクンッ!)」


(んなに海が好きなのか…?)

(えへへ、僕も一緒…っ)


 ニマニマと締まりのない顔に、桐は仕方ないな、とどこか嬉しそうにため息をつく。紅葉が嬉しそうにしているのは1人じゃなくなるからなのか、海に行けるからなのか。桐がいつもより穏やかな気持ちなのは、小さな子供の笑顔を見れたからなのか。

 すれ違っている訳ではない2人の気持ちは、まだ何も進展しなさそうである。







「(海ーっ)!!」


 キラキラ光る波間に負けぬほどキラキラ目を輝かせるのは、まだ車中なのに落ち着きのない紅葉。朝出発し、途中で水着を買ってもらい車を走らせること2時間弱。景色は開け、海が顔を見せたのだ。

 たくさんの人で溢れかえっている海はいつぶりだろうか。紅葉はどこか懐かしむような表情で海を見つめ、そして窓に映るこちらを見ている桐にハッと気づいた。



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あきゅろす。
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