成長に感動
「『おとうさん、おかあさん、ありがとうっ』」
『しょーがっこーににゅうがくしても』
「ぼくたち、」
『わたしたちを』
「『おねがいしますっ』」
「っ……くぅ…!」
小さなステージの上に並んだ紅葉たち。おめかしをして我が子を見守る保護者たち。その手にはハンカチが握られていて、ときおり目元を拭く姿が目撃される。
……そう、幼稚園卒園式だ。
この3年で一段と立派になった我が子に涙し、小学校への思いをはせる親。それは若葉も例外ではなく、みんなに混ざって歌をうたったりする紅葉に涙を流していた。
(こないに大きくなりよって…もう小学生かいな…っ)
あのときは喋ることも、ましてや一人で座ることも出来なかったあの紅葉が。今はこうして楽しそうに歌をうたっているではないか。しかも4月からはピッチピチの一年生。
まだ子供なのに、でも着実に少しずつ成長している紅葉に、感無量なようだ。
「……ちゃ、わかちゃん?」
「っ…え、紅葉?どないしたん」
「わかちゃ、おわったよ?」
「ぁ……え゙、嘘やろっ!?」
「んぅ?」
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