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「……え?なっ、紅葉どないしたっ!?」
「わかちゃ、はやいー」
タイミングの練習をするのはとてもいいことだ。ただ一つ忘れててはいけないのが、体格が全然違うということ。若葉が一歩踏み出すたびに紅葉は後ろに下がっていき、最終的に後ろでコロコロと転がっていた。
しまったー、と紅葉を助けようとするも、これはクラスごとの競技なためのんびりもしていられない。若葉はそのまま紅葉を小さく丸めさせ、一気に突き進んだ。
ダンボールに転がされる小さな紅葉。可哀想に見えるが、本人は楽しんでいた。
「あ、うぅ…おめめ、ぐうぐうなの…っ」
「ははっ、スマンスマン。痛いとこはないか?」
「んー…にゃいっ!ぼく、げんきだよ」
「良かったわー」
あんなことを自分でしておきながら物凄く安心をする若葉。だが紅葉だけでなく他の子も似たようなもので、この競技は失敗なんじゃないかと誰もが思っただろう。
それからもたくさんの種目に出、そのたびに若葉がカメラを持って叫びまくる。そんな光景がよく見られた…とか。
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