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重箱の一段目にはサンドイッチと大小のおにぎり、二段目には色とりどりのおかずが入っている。パンもご飯も、タコさんウインナーも卵焼きも食べたいといった紅葉の願いを、全部詰め込まれた最高のお弁当だ。
「わっ…わ、おいしそ…らねっ」
「そか?ほれ、これで手ぇ拭きぃ」
「ん、ふきふきっ♪」
「おー偉いで紅葉。好きなもん食えやー」
「たまごのパン、たべるのっ」
綺麗に手を拭いて、両手でパンを掴む。四角く切られた食べやすいサイズのそれを、紅葉は小さな口でパクリと食べた。もきゅもきゅと必死に口を動かす姿が可愛らしい。
「んぅ、う、うまひっよ!」
「そかそかー…ってちゃう!美味しい、や」
「……おいひ?」
「っ…このまま育ってもうたらどないしよ…」
くりっとした大きな目に、ぷにぷにほっぺ。まだ6歳なのだからといわれればそれまでなのだが、どうも女の子のように見えてしまう。それでも…それでもきっと、どんな風に育っても可愛くて仕方ないんだろうけれど。
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