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(見てろよ紅葉ーかっこええとこ見せたるでぇっ)


 ズボンをキュッとあげて足を慣らす。頭に巻いているバンドも落ちないようにつけなおし、順番がくるのを待った。そしてようやくやってくる順番。


『いちについてー…よーい、ドンッ!』

「っしゃぁああー!」

「ぅわっ…わかちゃん、はやーいっ」


((こ、こえぇ…!))


 かけ声とともに物凄いスピードで走り抜けていく若葉。その目はいたって真剣で、走り出したときの雄叫びも気合いが入っているのが伺える。

 ただ…物凄く怖いのだ、そんな姿の若葉が。見ている保護者も園児も、声を出さずに涙を流した。


 もちろん結果は一位で、それを見てハシャいでいる紅葉に力強いVサインをおくることになるのだが。







「さー昼飯にするでぇ」

「わーいっ、わかちゃんのおべ、とーっ」

「午後のためにもよぉけ食って力つけとくんやで!」

「うんっ」


 さぁ、みんなが楽しみにしているお弁当の時間がやってきました。シートに2人で座り、いつも以上に力を入れたお弁当を広げる。




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