2
(見てろよ紅葉ーかっこええとこ見せたるでぇっ)
ズボンをキュッとあげて足を慣らす。頭に巻いているバンドも落ちないようにつけなおし、順番がくるのを待った。そしてようやくやってくる順番。
『いちについてー…よーい、ドンッ!』
「っしゃぁああー!」
「ぅわっ…わかちゃん、はやーいっ」
((こ、こえぇ…!))
かけ声とともに物凄いスピードで走り抜けていく若葉。その目はいたって真剣で、走り出したときの雄叫びも気合いが入っているのが伺える。
ただ…物凄く怖いのだ、そんな姿の若葉が。見ている保護者も園児も、声を出さずに涙を流した。
もちろん結果は一位で、それを見てハシャいでいる紅葉に力強いVサインをおくることになるのだが。
◆
「さー昼飯にするでぇ」
「わーいっ、わかちゃんのおべ、とーっ」
「午後のためにもよぉけ食って力つけとくんやで!」
「うんっ」
さぁ、みんなが楽しみにしているお弁当の時間がやってきました。シートに2人で座り、いつも以上に力を入れたお弁当を広げる。
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