2
うるさーい!といわんばかりにクロちゃんを力ない手で叩く紅葉を、当の本人は笑ってたこ焼きに手を伸ばした。
たくさん食べて大きくなれるなら食べてるのに。なんて心の中で文句をいいつつ、蓮見に引っ張られるまま蓮見の膝の上に座った。
「はははっ、永井と比べるとより小さく見えるな!」
「っ──!」
(く、クロちゃんなんて大っ嫌いやー!)
体をプルプル震わせた紅葉は、焼きそばを手に保健室を飛び出していった。蓮見はクロちゃんを睨みつけながらそのあとを追い、菖蒲もお礼をいいながらあとを追う。
「……何か、したか…?」
「………」
どうやら分かってないのはクロちゃんだけらしい。智春もメガネをクイッと直し、ちゃっかりとお昼を確保してクロちゃんを保健室から追い出した。
今日も学園は平和である。
◆
「もう…機嫌なおして?紅葉…」
(うぅ…かて、あんなに小さいとかいわなくてもええのに…っ)
「紅葉、可愛い。今…十分」
「そうだよ。それにこれから成長期がくるかもだし…」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!