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メガネの奥で死んだような目をする智春に、紅葉は自嘲的に笑いながらそういってみせた。自分よりも若い、まだ高校生になりたての紅葉のそんな表情に、智春は悲しそうに笑う。
まるでここは、悲しみが悲しみを生む地獄のよう。
「……はぁ…悪かったな。何分まだ…」
「(フルフル)」
「他はどうだ。そういうときに気分が悪くなるとか、いきなり体の調子が悪くなるとか」
【そういうことはないです】
「なら大丈夫だな」
(それ以前に、椎名は俺よりも強いかもな…はっ)
椅子にかけ直しながらそう思う。どんなにツラくても、たとえ泣いていたとしても紅葉は毎日が楽しいという。自分なりに受け入れて前向きに生きていこうとしてるのが、智春にはこれでもかと伝わり、少しだけ教えられた気がした。
被害者の会、とはよくいったものだ。互いに暗くなるばかりではないらしい。
(アヤちゃんまだかなー…お腹も空いたなぁ…)
すっかり気分も変わり、ベッドに腰掛けて足をプラプラさせる紅葉。
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