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「そういえば、クラスの方は2人のおかげで大繁盛らしいじゃないか」
「そんな、クラスみんなのおかげですよ」
「(コクコク)」
「だが椎名の教えもあってだろ?そうだ、昼飯はもう食べたか?」
「いいえ、これから行こうかと…」
「よーし待ってろ、先生が何かおごってやろう!」
「え、そんな大丈夫で…っ、行っちゃった…」
(……ええ人、なんやろうけどなぁ…)
ガハハッと大口を開けて笑いながら出て行くクロちゃんに、紅葉は若干冷めた視線を送った。いや、紅葉だけでなく智春も。
視線を戻したときにお互い目が合い、仕方ないね、とでもいうようにクスリと笑い合った。
「ん…? 紅葉?」
「(コテン)?」
「ぁ…ううん、腕は大丈夫?」
「(コク!)」
「ちょうどいい、…最近はどうだ?」
キィ、と椅子を鳴らし紅葉に医者の目を向けてくる智春に、紅葉も背筋を伸ばす。紅葉の場合は身体的なケガではないため、智春からすれば専門外だ。
だが保険医として、残された者同士として、紅葉の面倒をみるつもりでいるらしい。
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