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「ぇ…あ、いえ、湿布をもらおうかと…」

「そーかそーか、まぁ座れ」

「……俺の保健室なんだが」


 はぁ、とため息をつく智春にもベッドを勧められ、2人は端っこに一緒に座った。そんな2人のために湿布を取り出す智春をよそに、クロちゃんはニコニコの笑顔で椅子を2人の前におき、ドカッと座る。


「珍しいですね、先生が保健室にいるなんて…」

「ハハハ、今な、草壁先生と仲良くなるために奮闘中なんだ」

「……そ、そうですか…」

「先生は来たばかりだからよく知らないが…色々あったらしくてな。やはり同僚の先生とも楽しくやっていきたいだろ?」

「はぁ…」

「……神崎でも椎名でもいい。ソイツを連れて帰ってくれ」


 ほら、といって湿布を渡してくる智春の顔は、本当に勘弁してくれと全体で表している。心になにかを抱えたり、人の好き嫌いが出てくるのは生徒だけでなく先生でも当然のこと。

 ただクロちゃんは、来たばかりで気合いが空回っているだけなのだ。…が、これは…、


((暑苦しい…))


 本人以外、そう思うのも仕方ないだろう。黒澤ツツジ24歳新人、そろそろ周りの空気を読まないと色々危険である。



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