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こちらを見ていた先生に軽く頭を下げ、若葉は紅葉を抱き上げて車に戻った。すぐには発進させず、膝の上に向かい合わせになるよう座らせてギューッと抱き締める。
「ひっく、ふぇ…わかちゃ…っ」
「うんうん、紅葉は凄いなぁ!1人で幼稚園に行くこと出来たんやなっ」
「で、きた…ぁ。ぼくっ、なかへんか、た…ぉ?」
「そか、さっすが紅葉や!ワイも嬉しいでーっ」
「ほん、ま?わかちゃ、うれし?」
「ほ・ん・と・や。嬉しいもんやで、頑張る紅葉が見れんのはなぁ」
子の成長を喜ばない親なんているのだろうか。…いや、1人心当たりがあるが、それでも若葉は最高の笑顔を見せて、たくさん紅葉にチューをしてあげた。
それから家に戻り、今日は何をしたのかなど色々話をする。だがどうやら今日は泣き疲れて寝てただけのようだ。
「明日からも、頑張れるか?」
「ふぅ…っ、さみし、い…」
「それはワイもや。やけどな、行かなあかんのや。紅葉が大人になるための一歩なんや」
「おとな…?」
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