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(あれ…こないな方に荷物、あるのかな…)
一方、辺りをキョロキョロ見回し、人気のなさに不審に思い始めた紅葉。前を歩く子はなぜか何も喋ってくれず、紅葉も喋ることが出来ないので終始無言だ。
キュッキュと廊下の鳴る音しかしないそこは、静かというよりも少し不気味である。
「っ…、ぁ…」
『……ああ、ここか…全く、遠いなぁもうっ』
「……?」
(ついた…んかな?)
足を止めた彼に、手を伸ばしかけていた紅葉も動きを止める。一緒になって上を見上げれば、教室の番号が書いてあるものの、クラスでは使用してない桁の違う番号だった。
倉庫か何かにしてるのかな。そんなことを思いながらドアを開けてくれた彼に頭を下げ、先に中に入る。
──ドンッ
「っ…!?」
『もう、遅いよ君』
『すいません、少し遠くて…』
『いいから、そこ鍵しめて。…で、この前振りかな?椎名紅葉君』
「ぁ、っ…」
後ろから押され、よろけながらも中に入った紅葉。目の前にはいつだったか紅葉を殴った "ミカ様" がいて、嵌められたのだと気づいて一歩後ずさる。
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