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 おかしい、と蓮見は声を漏らした。いつもならグルッと教室を見渡せばすぐ見つけられるというのに、今日は見つけられないじゃないか。蓮見は茶色の目を細め、眉間にシワを寄せてもう一度教室を見回した。

 ……いない。


「っ、…おい」

『ひっ、はい!?』

「モミジ、どこだ」

『え?……あれ、そういや見かけてないな…ですっ』

「見て、ない…?アヤメと、か」

『いやっ…神崎とは別れてたから違うんじゃないかと…ひぃぃ!』


 蓮見の身長は190を超えるため、胸倉を掴まれれば足が浮くのは当然のこと。さらにいつもより低く唸る声。睨みつけてくる目の迫力。光に当たってかピアスは光り、髪は青が強調されている。

 哀れクラスメートA。知らないと答えた途端下に落とされ、泣きべそをかきながら友人のもとへ走って逃げていった。


「……チッ、モミジ…!」

((なんで椎名はコイツと一緒にいれれるんだ…っ!))


 誰もが疑問に思ったことだろう。だが蓮見はそんな人たちを気にもとめず走り出した。途中、何人の人とぶつかろうが関係ない。今は紅葉を、一刻も早く紅葉を見つけないと…その思いでいっぱいだった。




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あきゅろす。
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