[携帯モード] [URL送信]

 それがまた、紅葉を困らせる。後ろから抱き締めて椅子に座り、離してくれないのだ。だから紅葉にとって蓮見が来るまでの10分間が、唯一の時間になってしまった。


『ねぇねぇ、椎名くーん』

「……?」

『僕と一緒に荷物とりに行ってもらってもいーい?』

「っ、(コク!)」


 紅葉の気持ちを知ってか知らずか、この10分間にクラスメイトは声をかけてきてくれるようになった。今も紅葉のように女の子らしい容姿をした子に話しかけられ、紅葉は満面の笑みで頷いて教室を出て行く。


(1人じゃないからええ、よね…?)

 その、もう1人が誰なのかもハッキリしないまま、だったが…。


 そして紅葉たちが出て行ってから10分…いや、7分後、いつものように蓮見がやってきた。ノックもなしに開けられる扉の音に、何人かがビクつき振り返る。そして彼を見て、クラス中に緊張が走るのだ。


((こえーっ))

(何で今日は睨んでくんだよ!)

(カッコイい…けど怖くてムリー!)


「……モ、ミジ…?」



[*前へ][次へ#]

20/100ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!