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「……美味しい?」
「っ、(コクコク! ふにゃぁ…)」
「っ…かわ、い…」
お肉のようにとろける笑顔。まさしく頬が落ちるといった感じに、これでもかというほど顔が緩んでいた。もう一口食べ、そしてまた悶えるように手足をバタバタさせる。
「ふふ、良かったね。それ、普通じゃなかなか頼めないもんね」
「たまに、は…役、たつな」
「あ゙?」
──クイクイ
「……んだ」
「(ニコーッ)」
「…俺様がおごってやったんだ、心して食っとけ」
満面の笑みの紅葉に、鼻で笑って、それでもどこか上機嫌に返す。その言葉通り紅葉はゆっくり時間をかけ、よく味わいながら今日の夕食は終わりを迎えることになる…。
◆
隙はやはり、準備中だった。
紅葉が生徒会室にいき、さらには桐と夕食を共にしたことはすぐ学園中に広がった。中には2人をお似合いだという人もいるが、大半は紅葉に嫉妬している輩だ。
夕食を共にした日から菖蒲と…というより、蓮見の身辺警護は厳しくなった。
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