4
それが紅葉にも降りかかるんじゃないかと、怖くて怖くて仕方ないのだ。…だが。
「…チッ、来い、俺様と食え。命令だ」
「ぁ…っ!」
「モ、ミジッ」
「お前らも許してやるんだからありがたく思え」
(手、…っ、手…!)
スタスタと歩いていく桐の左手は、紅葉の右手首を掴んでいた。そのため思いっきり引っ張られ、小走りという形でついていくことになる。
もうここまで来たら仕方がない。菖蒲は深い溜め息をつき、蓮見と一緒にそのあとを追った。
『『キャー長谷川様ーっ!』』
『かっこいー抱いてぇっ』
『ちょ、なんでアイツ…!』
『いやぁっ、そんなのに触らないでーぇっ』
「っ…!?ぁ…っ、」
「あ…?」
(こっ、怖い…!)
『早く離れ、』
「っせぇな退学にするぞブス!俺様は静かに飯が食いてぇんだ、うるさくする奴はでてけ!」
キーキー喚きやがって、と最後にポツリと付け足しておく。だがそれは桐に怒鳴られ静かになった食堂にはよく響き、次の瞬間、何人かの子が泣きながら食堂を出て行った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!