[携帯モード] [URL送信]
ある日の夕食
(俺に懐いとるんを桐と永井に見せつけるんも、楽しそうやしなぁ)


 ニヤリと笑ったのを菖蒲だけが見逃さなかったが、頭を撫でる手に嬉しそうに押し付けている紅葉を見て、心の中で "要注意" と呟いておいた。







──ザワザワ

(ふわぁ…相変わらず混んどる…)


 この学園で自炊をするのは、よっぽどの料理好きか人前に出たくない人、そして栄養面を気にする人だけだ。それは全体の割合から考えれば極わずかであり、残りはみな食堂へと集う。

 そしてお腹が空く時間というのも大体みな同じなのだ。今夜の食堂も例外ではなく、紅葉たちは声に耳を傾けるよりも、席を探すことに集中した。


「……空いてなさそうだね…」

「(うぅー…)」

「モミ、ジ……ご飯、待つ?」

(かて、待たな食べれないなん…)


「アヤメ、作る。…早いか」

「え、僕?どうだろ…待った方が早いんじゃないかな」


 しょんぼりする紅葉のために蓮見が提案してみるも、待った方が早いという結論に至った。



[*前へ][次へ#]

11/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!