ある日の夕食
(俺に懐いとるんを桐と永井に見せつけるんも、楽しそうやしなぁ)
ニヤリと笑ったのを菖蒲だけが見逃さなかったが、頭を撫でる手に嬉しそうに押し付けている紅葉を見て、心の中で "要注意" と呟いておいた。
◆
──ザワザワ
(ふわぁ…相変わらず混んどる…)
この学園で自炊をするのは、よっぽどの料理好きか人前に出たくない人、そして栄養面を気にする人だけだ。それは全体の割合から考えれば極わずかであり、残りはみな食堂へと集う。
そしてお腹が空く時間というのも大体みな同じなのだ。今夜の食堂も例外ではなく、紅葉たちは声に耳を傾けるよりも、席を探すことに集中した。
「……空いてなさそうだね…」
「(うぅー…)」
「モミ、ジ……ご飯、待つ?」
(かて、待たな食べれないなん…)
「アヤメ、作る。…早いか」
「え、僕?どうだろ…待った方が早いんじゃないかな」
しょんぼりする紅葉のために蓮見が提案してみるも、待った方が早いという結論に至った。
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