4
「ほれ、男はすぐ泣いたらアカンゆうたやろ」
「ぐしゅっ…ん゙っ、いちゃいー」
「ガマンやガマン!夕方には迎えくるさかい」
「ぅ…ゆうぁた?」
「えーっとなぁ…お日様が真っ赤になるころや。カーカー鳥さんが鳴くやろ?」
「わかちゃ、くるの?」
「おー来る!ワイも会えへんの寂しいけどガマンするんや。紅葉も頑張ってぇな…?」
服の袖で涙と鼻水をグシグシ拭きながら、若葉は少しツラそうな笑みを見せた。この4年、若葉だってずっと紅葉といたのだ。離れるのだって紅葉以上に寂しかったりもする。
それを紅葉なりに汲み取ったのか、よしよしと頭を撫でてきた。
「わかちゃ、ないちゃメッ、よ?」
「ははっ、ほな紅葉も、1人で頑張れるか?」
「あぅ…ひとり、や。でも、がんばぅ!」
「さっすが紅葉や!チューしたるっ、チューッ」
「うーっ、キャハハ」
どうやら1人で行く勇気が出てきたらしい。チャンスとばかりに先生は紅葉の手を引き、中へ入っていってしまった。若葉はそれを見えなくなるまでジィッと見送り、そして寂しそうな背中で家まで帰っていった…。
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