[携帯モード] [URL送信]
似てるんです
 嫌な空気…といっても桐だけが悪者になったそんな場面に、紅葉は素直に菖蒲のもとへ行けば良かったと後悔する。でも、…だけど、もう少しだけ椿と話がしたいと思ったのだ。

 失礼なことではあるが、若葉と接しているような暖かい気持ちになるから。もう少しだけ思い出に浸っていたいと思った、だから紅葉はその場を動かなかっただけ。


【邪魔じゃなかったら、椿先輩のお膝に座りたいです】

「……ブッ、膝て…」

「ぁ…っ」

「エエよ。そんかわり、紅葉チャンの話、聞かせてーな?」


──ビクッ

【……どんな?】

「何でこないに…俺に懐いてくれとるんか、とか」


 ああ、やっぱり。そのときの紅葉は恐らくそんな目をしていただろう。どうしようかと悩む仕草を少し見せ、でもきっとこれからもあるかもしれないから…と、紅葉は恐る恐る頷いた。

 そしておいでと体を紅葉の方へ向けてくれた椿に近寄り、足にちょこんと座る。今度は字も書きやすいように横向だ。そんな様子を菖蒲たちは何もいわず、でもどこか羨ましそうな目で見ていた…。




[*前へ][次へ#]

7/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!