似てるんです
嫌な空気…といっても桐だけが悪者になったそんな場面に、紅葉は素直に菖蒲のもとへ行けば良かったと後悔する。でも、…だけど、もう少しだけ椿と話がしたいと思ったのだ。
失礼なことではあるが、若葉と接しているような暖かい気持ちになるから。もう少しだけ思い出に浸っていたいと思った、だから紅葉はその場を動かなかっただけ。
【邪魔じゃなかったら、椿先輩のお膝に座りたいです】
「……ブッ、膝て…」
「ぁ…っ」
「エエよ。そんかわり、紅葉チャンの話、聞かせてーな?」
──ビクッ
【……どんな?】
「何でこないに…俺に懐いてくれとるんか、とか」
ああ、やっぱり。そのときの紅葉は恐らくそんな目をしていただろう。どうしようかと悩む仕草を少し見せ、でもきっとこれからもあるかもしれないから…と、紅葉は恐る恐る頷いた。
そしておいでと体を紅葉の方へ向けてくれた椿に近寄り、足にちょこんと座る。今度は字も書きやすいように横向だ。そんな様子を菖蒲たちは何もいわず、でもどこか羨ましそうな目で見ていた…。
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