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若葉と2人きりの生活で、ずっと手伝いをしてきた紅葉にとって、洗い物なんて造作もない。少しは役にたてたかな、と満足をし、やることもなくなった紅葉は教室に帰ろうかと考えた。
「もーみじチャン。次は俺んとこで寛いできぃ」
「……?」
「あー首傾げる姿もかわえーなー。ほら、こっち来ぃ」
だが、そう椿に呼ばれれば断る理由もなく、トテトテと音をたてながら椿に近寄った。するとどうだろう。腕をグッと引っ張られ、全く力を入れてなかった紅葉はそのまま椿に向かって倒れてしまった。
痛みは特になく、足に違和感を感じた次の瞬間には、椿に向かい合って膝に跨る、という体勢になっていた。
「ちょ…っ、椿先輩、何してるんですか!」
「いやー紅葉チャン軽いし抱き心地ええし、…なんや甘い匂いするし…」
──クンクン
「っ…(わ…)」
「変なことしないで下さい。それにそうしたいなら口でいえばいいじゃないですか」
「えーのえーの。な、紅葉チャン?」
そういって紅葉の髪に埋めていた顔を少し離し、紅葉に向かって笑いかけた。
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