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「ワイは、ここまでや。エエか?紅葉は1人で行くんや」

「やぁ、ひとりやぁっ」

「あー泣かんといてぇな。ワイまで離せなくなるやん」

「いっしょ、いよ?ひとりやぁのっ」

「っ…ダメやダメや!大人なるための一歩やで。頑張りぃっ」

「や、ぁぁーっ、ふぇぇーっ、わかちゃ、いっしょがええ、のぉ…!」


 ついにはうわぁんと大声で泣き出してしまった紅葉。しゃがんでいた若葉に抱きつき、イヤイヤと首を振るばかりでこちらの話を聞こうともしない。若葉はどうしたもんかと頭を悩ませながらも、手は優しく紅葉を撫でてあげた。


『大丈夫ですかぁ…?』

「あ?……あー…すまへんなぁ…」

『ふふ、よくあることさかい。お名前は?』

「紅葉や。ほら紅葉、挨拶しぃ」

「うぅーっ」

『紅葉ちゃーん、大丈夫やで。パパはちゃーんと迎え来よるさかい』


 見かねた先生が声をかけてきてくれるも、紅葉は一向に話を聞こうとしない。今まで一時も離れずに育ててきたのがいけなかったのかもしれない。時には鬼になることも必要だった…と若葉がほんの少し後悔したのはいうまでもない。




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