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 すれ違い様に振り向き、紅葉にそういう椿はニヤニヤとした顔をしていた。分からない、とキョトンと首を傾げる紅葉に合わせて菖蒲が聞くと、椿は蓮見を指差した。


「守られてるだけで、楽しいん?ちゅーかクラス違うやろ、一緒におってどないするん」

「ぁ……」
(確かに…誰もおって来ないんだよなぁ…)

(ああ、そんな簡単に…)


「どうせやったら必死こいてやった方がエエやろ。なぁ、永井」

「うる、さい」

「……ま、好きにせぇ。ほな気ィつけて楽しみやー」


 最後の笑顔は、どう見ても楽しんでいるものだった。いうだけいって消えてしまった椿に菖蒲はため息をつき、未だ首を傾げている紅葉を見やる。


「………気に、しない、いい」

「……、(フルフル)」

「っ…!?」

【椿先輩のいう通りだよ!クラス違うのに一緒にいちゃダメだし…】

「モ、ミジ…」

【僕ね、もっともっと走ったりしたいの!ごめんね、ハーちゃん】

「……!!」


 ガーン!と音がしそうなほど落ち込む蓮見に、優しく声をかけてやれる者はいない。



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あきゅろす。
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